400メートルを先頭で通過するは田中希実(兵庫・豊田自動織機)(右端)
第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」の陸上最終日は10月10日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで行われ、成年女子800メートルは女子中長距離界をリードする田中希実(兵庫・豊田自動織機)が2分5秒09で優勝した。2位は池崎愛里(広島・ダイソー)、3位は山田はな(新潟・わらべや日洋)。
◇切れ味を欠いた田中、「悔しい」と不満顔
絶対的なライバルが不在とあって、「自分との戦い。自分に集中しよう」と臨んだ田中。「最初の200メートルはいつもの自分より速く入れた」ものの、200メートルから400メートルのラップで思うようにスピードに乗れず、後半の1周も本来の切れ味がなかった。自己記録にも届かず、「2周目にペースを上げることができなかった。そこがぱっとしなかった」と振り返る。肌寒く小雨が降るコンディション。「寒くても2分2~3秒で走らないといけない。きょうは悔しい」と不満を口にした。
1位でフィニッシュする田中希実(兵庫・豊田自動織機)(右端)
1500メートルと3000メートルの日本記録保持者で、昨夏の東京五輪では1500メートルに加え5000メートルにも出場した。女子中長距離界のオールラウンダーとして日本を引っ張る存在。今夏の世界選手権で世界との差を肌で感じた田中は、「きょうは200メートルまで自分としては速かったが、世界はもっと速いし、最初の400メートルを60秒くらいで食らいつかないと世界で戦えない」と課題は承知しており、「最初の400メートルを60秒か61秒で楽に入れたら、2分0秒前後が見えてくる」。田中には、まだ伸びしろがある。
ゴール後にポーズをとる田中希実(兵庫・豊田自動織機)