女子スクラッチのスタートの模様
第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」は、10月7日も前日に続いて朝から雨が降り続いた。自転車は宇都宮競輪場で行われたが、屋外トラックのアスファルトは雨で滑りやすい状態。整備のため開始時間が15分ほど遅れた。この日最初の決勝種目、女子スクラッチは福岡・祐誠高3年の池田瑞紀が大学生や社会人を抑え11分7秒26で優勝した。
◇自転車のスピード感が競技開始のきっかけ
トラックを16周(8キロ)して順位を争う女子スクラッチ決勝。予選1位で決勝に進んだ池田は残り9周から6周まで先頭に立ったが、「後ろがついて来る」展開のため無理をせず、集団後方に下がって体力を温存した。
女子スクラッチのレース直後に笑顔の池田瑞紀(福岡・祐誠高)
しかし、「どういう展開に持ち込むかばかり考えていたら周回数をきちんと見ていなくて、いきなりラスト1周の鐘が鳴ったので慌てた」と言う。スパートした時点は集団の最後尾にいたが、一気に先頭に躍り出て会心の勝利を手にした。「我慢する時は我慢し、行く時は行く」ことを念頭にレースに臨んだが、結果的にその通りの展開となった。
池田と自転車との出会いは、小学5年生の時。福岡県のタレント発掘事業の体験プログラムで初めて競技自転車に乗り、「ブレーキがない自転車のスピード感が楽しかった」という思いが記憶に残った。それまでバスケットボールをしていたが、中学3年での競技選択でその記憶が忘れられず、自転車を本格的に始めることにした。
池田は、今年の世界ジュニア選手権マディソンで銀メダルを獲得した期待の選手。「今後は大学に進学し、2028年ロサンゼルス五輪で金メダルを獲得するのが目標。練習のオンオフをきちんとして、もっと持久力をつけたい」と抱負を話した。
女子スクラッチで優勝し、ガッツポーズする池田瑞紀(福岡・祐誠高)